mission
それはいつものこと、のはずだ。
こいつは地上に降りてくると不満そうな顔をしている。
わずかに眉根を寄せ、無言の様は、ここにいることを拒んでいるように見える。
それが俺を疎んじているように思えて、わずかに苛立った。
何故だ?
いつものことなのに。
俺は椅子から立ち上がった。それでもこいつ―ティエリアはこちらを見ない。
たった数歩の距離。
俺が近付くと、やっとティエリアはこちらを見た。
「何ですか?ロックオン・ストラトス」
座ったまま、見上げる。
無表情に近い顔で。
冷たく感じるほどの美貌。
冴えた表情しかみせないその瞳が緋色をしているのは何故なのだろうか。
「ロックオン・ストラトス?」
怪訝な顔をするティエリアに、胸の奥がざわりとさらに苛立ち、気付いたときには彼の腕を掴んでいた。
「―な、っ?」
その細さを確認するほどに、力が入る。
「―っ!…」
清冽な美貌が苦痛に歪む。
「離せ、ロックオン・ストラトス!」
言われてさらに力がこもる。
離したくない。
逃がさない。
強引に抱き込んで、口付ける。
「!?」
うめくような声が漏れる。
それは拒絶。
だが構わずに口腔内を弄り、そのままベッドに移動し倒れ込む。
「―止めろっ、ロックオン…!」
緋色の瞳が鋭く突き刺さる。
「何の…つもりですかっ」
フッと、ロックオンの口元から笑みがもれる。
今、こいつが見ているのは俺だ――
逃れようと抵抗する細い腕を押さえつけて、ロックオンはティエリアの服に手をかける。
「ロックオン!」
驚愕と怒りで睨み付ける。
「何の真似です?!…俺達はミッションのために来ているんだ!そのミッションをあなたは―」
「そうさ、ミッションだ」
「!?」
おまえの心も躰も、さらけ出させてやる。
「やめっ!―あっ…!」
「ティエリア…」
おまえのすべてを俺のものにするためのミッション。
それは始まったばかりだ。
決して終わることなどない、俺だけの──
end
080516