ごきげんようティエリア―!?
「──ということだ」
「うん、そうだね…──」
「何だ?アレルヤ・ハプティズム」
じっと、自分を見ているアレルヤに不機嫌そうにティエリアが問う。
「えっ、あの…いや…」
しどろもどろになっていたアレルヤの雰囲気が急に変わった。
「おまえよぉ、」
髪の分け方も、見えている瞳の色もいつもとは違っている。
ハレルヤだ。
「似合い過ぎじゃねぇかぁ、その格好」
「───」
口の端を上げ、じろじろとティエリアを無遠慮に見る。
なぜならティエリアは今、この学園の制服であるセーラー服を着ているからだ。
「マジ、女で──うげっ!」
ハレルヤが苦しげな声をあげた。
ティエリアがハレルヤの鳩尾に拳をお見舞いしたからだ。
「…ティエ、リア…ひどいよ…」
鳩尾をおさえて言うのはアレルヤだ。
「──ハプティズムであることに変わりはない」
冷たいお言葉。
「……」
それはそうなのだが。
「戻るぞ」
くるりと向きを変え、階段を下りていく。
「あ、ティエリア、まだ─」
下りきって、曲がろうとしたティエリアの目の前に、人がいた。
見知った長身の人物に、ロックオンと名を言いかけて、ティエリアの口からは違う言葉が出ていた。
「貴方…どうしたのですか?その服装は─」
「あ?ああ…」
言われた方も気まずそうに頭を掻いている。
それもそのはず、ロックオンは学ランを着ていた。おまけにだらしなく前ボタンを半分外している。
「ロックオン、貴方は臨時講師のはずでしたよね?」
「そのはずだったんだがな…」
「そのことなんだけど─」
追い付いたアレルヤによると、何かの手違いでか、生徒になっていたらしい。
「………」
呆れ果てたようなティエリアの表情が何となく怖い。
「まあ、帰国子女つうか…」
帰国子女とは、これまた似合わない言葉だ。
「休学扱いになってるらしいし―」
「えっ?」
「二十歳ってことになっているんだって」
「───」
アレルヤの補足にティエリアは言葉が出てこない。
思い切り溜息を吐く。
まあ、これで十八歳と言わないだけましと思うことにしよう。してしまおう。
「でもよ、」
声に顔を上げると、何故か嬉しそうにこちらをしげしげと見るロックオンと目が合った。
「ロックオン・ストラトス?」
ティエリアの眉間にわずかに皺が刻まれる。
いや、彼がフルネームで人を呼ぶときは機嫌が悪いのだ。
故に、制服がよく似合ってて可愛いな、と口にすることをロックオンは慎んだ。
「考えてみると、生徒の方がいいよな」
「?」
「ティエリアとこうして話してても平気だろ?教師と生徒じゃ、問題になりそうだしな」
言いながらちゃっかり、ティエリアの腰に手を廻している。
確かにこれだと大問題だ。
だが──と。
「きゃああっ!!」
突然、女生徒の叫び声が響いた。
「お姉さまがっ、ティエリアお姉様が不良に─っ!」
「お姉様っ!」
あまりのことに、女生徒達をぽかんと見つめるティエリア達。
「ロックオン、手!手を放さないと!」
「は?」
アレルヤに言われ、ティエリアの腰に廻していた手を慌てて放した。
仕方ないとティエリアはまた溜息をつくと、するりとロックオン達の側を離れて、女生徒達の方へ向かった。
「大丈夫です、皆さん。何でもありませんから」
にっこりと、しかも裏声で話しているのは流石と言うべきか。
「でもっ…」
「本当に何でもありません。さ、参りましょう」
と、彼女達を連れて行ってしまった。
「……何だ?あれ」
「ははっ、何と言うか…ファン、みたいなんだよね」
ロックオンよりひと月ほど先に、この学園にティエリアとアレルヤは潜入していた。
編入試験満点で、しかも運動もでき、加えてあの美貌。
そうあっても不思議ではないが。
ティエリアも女生徒には優しく接しているのだろうか──
「─ん?待てよ、不良ってのは、もしかして俺のことか?」
ハタと気付いて考える。
「そうじゃないんですか?僕はティエリアの従兄弟ってことになってますから」
「………」
アレルヤの表情が悪戯っぼく見えるのは見間違いではないだろう。
ティエリアに関しては結構こいつも言うもんなと、心中で呟いて、ロックオンは溜息を漏らしたのだった。
終
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近頃噂のドラマCDネタです(笑)
トラックタイトル(?)をちらっと聞いての妄想だったりします。
今現在内容は分かりませんので、全くの捏造です。
そんな感じですのでご容赦を。
しかし、もう少し短くなるはずだったんですけどね、なぜかしら(笑)
080619