コミュニケーション―(1) みんなですれば



「お、いたいた」
休憩室にいるティエリアを見つけると、ロックオンは中に入った。
何だか楽しそうな様子のロックオンの後ろには、幾分戸惑ったようなアレルヤも続く。
「ちょっといいか?ティエリア」
「何の用です?ロックオン・スト…え、何を─」
ティエリアの返事もそこそこに、ロックオンはティエリアの肩を掴み後ろを向かせた。
「ロックオン!?」
「いいから動くなって…はい、OK!」
「何を、したんです?」
「ほら」
差し出された鏡に写ったのは、後頭部に大きなピンクのリボンが付けられている自分の姿。

「─ロックオン・ストラトス…!─」

ティエリアの声は怒りに震えている。
「うん、可愛い」
「…か、かわ…」
聞き慣れない言葉にティエリアの顔に朱が走る。
「やっぱりティエリアにはこの色で良かったな、アレルヤ」
「あはは…」
羞恥と怒りのティエリアを、一向に気にする様子もないロックオンにアレルヤは笑ってごまかすしかない。
「何の真似です?ロックオン・ストラトス─どういう理由で俺にこんなものを…」
「あ、おまえだけじゃないぞ」
「えっ?」
「おーい、刹那」
「!?」
呼ばれて入ってきた刹那に、ティエリアは思わず一歩後ずさる。
刹那の頭にも自分と同じようなリボン─色は白の─が付いていたからだ。
「刹那・F・セイエイ」
「──」
「…何故君は平然としている?」
そんなものを付けられて。
「俺には見えない。問題はない」

「……」

そんな理由があるのだろうか。
いや、それよりも。
「ロックオン!人にばかりこんなものを付けるなど─」
「ん?それもそうだな」
そう言ったかと思うと、ロックオンは自分の頭にもピンクの'それ'を付けた。
「ほい」

─うっ?!─

─ノリが良すぎですよ、ロックオン…─
あまりのことにティエリアは声が出ず、アレルヤも顔が引きつる。
刹那だけは無反応だ。
「アレルヤ」
「─は、い?」
密かに休憩室を出ようとしていたアレルヤに気付いたロックオンが、彼を呼び止める。
「ここまで来たら、なあ、アレルヤ?」
「……」
にっこりと笑うロックオンの手には白いリボン。
─どうして僕まで…─
結局─みんな仲良く、付けました状態である。

─ヴェーダ、僕には人間が分からない…─


彼らが'仲良く'なれるのはいつ?





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